『アロールの糸・色彩の世界展』(平良美榮子さん記事再録)

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サーバーが消えたために、今では見ることができなくなっているが、インドネシア文化宮(GBI)はその昔、『アロール島事典』の名称で同島を訪れた日本人の手記をまとめて掲載していた。その中のお一人、当時桜美林大学教授で服飾と染色の専門家であった平良美榮子さんが、その『アロール島事典』に「インドネシア・アロール島の天然染料による糸染め」と題する一文を寄せていた。以下、その内容を再録する。


『アロールの糸・色彩の世界展』 Pameran Warna-Warni Alor(展示会場の光景)
http://youtu.be/tDEIghFAK_E


アロール島の自然色染め糸111種・Benang Warna-Warni Alamiah dari Alor
http://youtu.be/mN4JU2q4pGg

インドネシア・アロール島の天然染料による糸染め(平良美榮子

インドネシアは、世界有数の染織品の宝庫である。中でも、東ヌサトゥンガラ地方では、今なお織機の原初的な形である腰機によってイカットやソンケットが織られており、デザインや色調は島ごとにまた地域や民族ごとにそれぞれ特徴をもっている。腰機から織り出された布の素朴で自然な風合いや、温かみのあるデザイン、色合いは機械織りの布を見慣れた旅人に感動を与えてくれる。

アロール島はティモール島・クパンから18人乗りのプロペラ機で、北に1時間20分ほどの距離にあり、世界で2番目に美しいといわれるサンゴ礁の海と、豊かな自然に恵まれている。
インドネシアでも、染色はいまや合成染料によるものが主流をなしている中で、アロール島ではイカットに用いる糸を手紡ぎし、染色は天然染料を用いて染める努力を重ねている。

2003年4月29日(火)から5月2日(金)にかけて行われた「第二回 アロール県エキスポ」で、アロール県(アロール島と周辺の島々からなる)の天然染料(植物染料)による糸染めの現状を見る機会に恵まれたので、その様子を紹介しよう。

1)天然染料(植物染料)による糸染めの実際
アロール県(9郡)から集まった人々は、グループごとに日ごろ使っている染材を3~5種類用いて糸染めを実演していた(写真1~10)。

2)アロール島で用いられている天然染料の染色について
アロール島では藍(ブルー~黒色)、ムンクドウ(小豆色~赤紫色)を主体にしてクニン(ウコン)、カユクニン(黄木)、ガラガラ(黄緑)、カタパン(黄緑)、スオウ(赤)などが用いられていた。
主な天然染料の染色法
① 藍(Nila)
a)生葉染め(写真5、写真6)
アロール島で用いられている藍はインド藍(チンクトリア種)である。その生葉を茎ごと容器に入れ水中で20回程もんでから生葉を取り出し染液を作る。次に、別の容器にこの液をカップ2杯ほど移し、石灰を手のひらですり合わせてから染液と混ぜて、この中でイカット糸を3分くらい染める。液を替えながら、生葉で作った染液がなくなるまでこの染め方を繰り返す。
b)醗酵建てによる染め重ね
沈殿藍に、ヤシの液や砂糖、石灰、灰汁などを加えて醗酵させ染める。染める回数によって、薄い色から写真11のように濃紺にするが、アロール島の藍染めは一般的に色調が濃い。
 c)黒染め
藍で黒色(写真12 左端)を出す為に、醗酵建ての液にトウモロコシで作ったお粥を加えて煮染めをするという方法がとられていた(写真13、14)。


写真No.1:ガラガラの葉をすり潰して染色
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写真No.2:ガラガラの葉で染めた糸(黄緑)
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写真No.3:ムンクドウに熱湯を入れ染める
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写真No.4:ムンクドウと染めた糸(小豆色)
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写真No.5:藍の生葉を水につけて染液を抽出
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写真No.6:抽出液に石灰を混ぜて生葉染め
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写真No.7:クニン(ウコン)の染色
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写真No.8:カタパンの葉で染める(黄緑)
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写真No.9:カユクニンで染める(左上の糸)
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写真No.10:染め上がった糸と染材

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写真No.11:2年がかりで染めた濃紺の糸
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写真No.12:黒に近い藍染め(左端)
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写真No.13:トウモロコシでお粥を作る
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写真No.14:藍液にお粥を入れて煮染め
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インドネシア文化宮(GBI)とアロール県政府との“島興し”プロジェクトの歴史は下記のようになります。

2002年4月30日~5月2日:第一回アロール県エキスポ(Expo Alor)
2002年7月6日~11月9日:東京で『アロール県伝統イカット展』
2003年4月29日~5月2日:第二回アロール県エキスポ
2003年7月26日~11月28日:東京で『アロール県伝統ソンケット展』
2004年8月2日~8月6日:第三回アロール県エキスポ&フラボモラ大文化祭
2005年8月4日~8月7日:第四回アロール県エキスポ
2006年5月20日~7月22日:東京で『アロール島児童絵画展』
2006年8月3日~8月7日:第五回アロール県エキスポ
2007年8月4日~8月8日:第六回アロール県エキスポ
2008年8月6日~13日 :第七回アロール県エキスポ

第7回アロール県エキスポ画像リポート(1)Expo Alor ke-VII
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200808/article_1.html

第7回アロール・エキスポ情報(Expo Alor ke-VII)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200807/article_2.html


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染色原料。左はムンクドゥの皮と根を煮詰めたもの。右はインド藍

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紡績糸の浸透に伴って、手紡ぎ糸を上手に作れる人は年々少なくなってきている。

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展示会場の光景

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ガラガラ(Gala-gala)の葉。インドネシア語ではTuri。学名はSesbania grandiflora。日本語ではセスバニア・グランディフローラ。幹の皮からオレンジ色やピンクなどが生まれ、葉からは濃淡各種のオリーブグリーン色が得られる。、

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ケタパン(Ketapang)の葉。インドネシア語ではKetapang。学名はTerminalia catappa。日本語ではモモタマナ (桃玉名もしくは桃玉菜)。葉からは、濃淡各種の緑色が得られる。

【アロールの天然染料の主素材】

自然色を生み出す主な素材は、以下のようなものが報告されているが、近い将来染色方法に関してパテント申請を予定しているとのことで、詳細な“サジ加減”や“添加物”については不明だ。

赤系、茶系の色は: 
ムンクドゥ(Akar Mengkudu)の根、生命樹の皮、赤木(ホン)、ラド(Lado)の皮

藍色、ブルー系は: 
ニラ(Nila)の葉

緑系、黄緑系は : 
ケタパン(Ketapang)の葉やガラガラ(Gala-Gala)の葉

黄色、黄金色は : 
ウコン(Kunyit)や柑橘類(Jeruk Purut)

黒色、灰色、紫は: 
ニラ(Nila)の葉(複数回の染色)

オリーブグリーン系色は: 
クパパ(Kpapa)の皮やパパイヤ(Papaya)の葉

オレンジ系やピンク系は:
ブリンビン(Belimbing)の葉、チェルメレック(Cermelek)の葉や実

深紅や明るいオレンジ系は:
マンレイン(Manleing)の根、野生マンゴ(Mangga Hutan)の皮


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名称】 『アロールの糸・色彩の世界展』 Pameran Warna-Warni Alor

主催】インドネシア文化宮&東ヌサトゥンガラ州アロール県&じゃかるた新聞
 
期間】 2012年7月14日(土)~10月6日(土)11:00-17:45。日曜・祝日は閉館。また以下の土曜日も閉館となります。2012年7月21日、8月4日&11日&15日、9月1日&16日。さらに、激しい風雨を伴う悪天候、さらに取材活動に伴って事前通告無しに、閉めることもありますので、予めご了承お願い致します。

展示品】 111種の自然色染めの原糸&およそ100点のイカット&ソンケット

場所】 インドネシア文化宮(GBI) JR高田馬場駅より徒歩約6分。東京富士大学高田記念館正門向かい側のビル1階(添付地図参照)東京都新宿区下落合1-6-8(TEL:03-5331-3310)

入場】 無料

備考】 アロール県政府が送ってくる予定の、染色素材も到着次第、展示する予定です。


インドネシア文化宮への道順

JR高田馬場駅より徒歩約6分。さかえ通りを進み、神田川の橋を越え、新宿区立図書館方向へ。東京富士大学高田記念館正門の向かい側のビル1F(東京都新宿区下落合1-6-8 TEL:03-5331-3310)




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アロール島のアロール・ブサール村で行われた、新たな色の創作光景。

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http://www.digibook.net/d/219483ffa018b03d271cb9257b69c436/?viewerMode=fullWindow

【関連ブログ】

アロール関連ブログ
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/theme/c88587e2d0.html

【関連動画】


東ヌサトゥンガラ州アロール島の海 The Sea of Alor Island
http://youtu.be/u00GOBDWVfE


アロールの海 Alor, The Heaven on Earth
http://youtu.be/UShkDYmpQLg


アロール島タクパラ村のレゴレゴダンス2002-2008 Lego-lego Dance Alor Island
http://youtu.be/oAcxbwu1kRQ


NTT州アロール島のレゴレゴ・ダンスの今昔 Lego-Lego Dance of Alor Regency, NTT
http://youtu.be/o5PvQtRPtKs


東ヌサトゥンガラ州アロール県の伝統舞踊レゴレゴ・ダンス
http://youtu.be/HVX0ILqRrQs


東ヌサトゥンガラ州フローレス&アロール島 Promotion Video Flores & Alor Islands
http://youtu.be/M0EZqVYBr2Y


アロール島のカラバヒから州都クーパンへのフライト Dari Kalabahi ke Kupang
http://youtu.be/VWiqSFg3j14


東ヌサトゥンガラ州アロール県のモコ博物館 Musium Moko, Alor, NTT
http://youtu.be/3yuUq-cA_0U


東ヌサトゥンガラ州プロモーションビデオ Promotion Video NTT Province Indonesia
http://youtu.be/GuP7Qg1801g

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