再録『GBIニュース』1998.8.21 Berita GBI(21.8.1998)アリ・サディキン

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GBIのホームページは、もともと宮崎市に拠点を置く㈲ハラパンメディアテックの宇野みれさんが立ち上げてくれた。その宇野さんが、サーバーに残っていたGBIホームページのデータを復元し、送ってきてくれた。今後、機会を窺いながら、特に『GBIニュース』をこのブログ上で再録していこうと考えている。13年前の出来事、そして当時執筆した時点での情報に基づいているため、その後の展開と新たに判明した事実と相違する内容があるかもしれない。しかし、記録の重要性に鑑み、敢えて原文のまま再録することにした。 

アリ・サディキン氏(撮影:1998.8.20)

大川誠一の『GBIニュース』1998年8月21日 Berita GBI(21 Agustus 1998)

【ジャカルタ発】


「50人グループ」代表アリ・サディキン元ジャカルタ知事と単独会見

GBIニュース(98/08/20)で既報の通り、アリ・サディキン元ジャカルタ知事(任期は1966-1978)、71歳、をリーダーとする反体制「50人グループ」は、第53回独立記念日(8月17日)を念頭に、8月20日、暫定政権の編成と早期の民主的な総選挙の実施を骨子とするメモランダムを発表した。同グループの声明文は、記者会見に参加したおよそ40人前後の地元メディア記者を通じて、翌21日一斉に報道された。

最有力紙『コンパス』は、「直ちにトランジショナル政権の編成を」と題する4コラム記事を6面に掲載し、アリ・サディキン代表のコメントとして「ハビビの大統領就任は憲法上の問題を抱えている。従って特別国民協議会を通じて、ハビビの大統領としての役職は取り消されなければならない」と伝えた。『ガトラ』誌東京支局長兼インドネシア文化宮代表は、前日の合同記者会見に次いで、21日、アリ・サディキン「50人グループ」代表と1時間30分におよぶ単独会見を行い、同氏の国家観や、最近急速に高まっている国民のABRI(インドネシア国軍)に対する不信感、さらに日本に対する期待などについて聞いた。以下、会見の一部抜粋。

大川: インドネシア共和国は第53回目の独立記念日を祝ったばかりだが、独立闘争に参加した45年世代として、その「独立」の意義についてお話下さい。

サディキン氏: 1945年、確かに我々は「独立」を手に入れた。そして「主権」は国民のものとなった。国会も機能した。しかし、スハルト時代を経て、今も国民は「独立」を真に味わうことができていない。「独立」という枠はできたが、内容が伴っていない。本来、手に入れた「独立」という容器の中身を我々が埋めていかなければならなかった。ところが、現実的には、その行為は完璧に失敗した。まず、スハルト政権下に生じたモラルの崩壊だ。政治のモラルばかりではなく、経済モラル、法律モラル、社会モラル、等々すべてが破壊されてしまった。エデンの園となったのは大統領宮殿の周辺だけだった。

大川: あなたは元海軍中将、ことに海兵隊の生みの親と言われているが、プラボゥオ陸軍中将の取り調べを始め、東ティモール、イリアンジャヤ、アチェなどの人権侵害なども通じて、国軍の評価が急低下しています。国軍はどうあるべきでしょうか?

サディキン氏: 私はABRIをこよなく愛している。本当のABRIをだ。国軍は本来国民のものだ。国民に尽くす使命を持っている。国軍はスハルトによって犠牲者となってしまったのだ。安定という錦の御旗の下、スハルトの私的道具になり、そして理想の理念が壊されてしまった。彼ら将兵こそ犠牲者だ。最高司令官であったスハルトによって滅茶苦茶にされてしまった。個人的な考えだが、ABRIの二重機能はやがて解消され、将兵は兵舎へ戻るべきだ。軍の軍としてのプロフェショナル化、ということだ。

大川: 日本に対する期待は?

サディキン氏: これは二つにわけて考えなければならない。一つは、日本政府はずっとスハルトを信じてきたということだ。日本は自らの利益のためにインドネシアを必要とし、スハルトは自らの利益のために、その日本の利益を守ってきた。しかし、日本国民は、単にそういった状況を知っていたに過ぎない。日本からの投資は大歓迎だ。ただし、インドネシア政府の高官の「福祉」ばかりに気を使い、インドネシアの一般国民の「福祉」を考えないような投資だったらいらない。国民を真に助ける投資ならば歓迎だ。市場と廉価な労働力だけを期待しているのならば、それは歓迎されない。

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アリ・サディキン氏は、会見中、筆者にコーヒーを飲むよう、ケーキを食べるようすすめてくれたが、機関銃の様に、次々と若々しい口元から発せられる発言のメモ取りに追われて、結局会見後に、冷え切ったコーヒーを飲むはめになった(砂糖も溶けにくかった!)。別れ際、氏に「一番好きなインドネシア語は?」と尋ねた。

『おかしなことを聞くね!そうだな、えーと。最近一番頻繁に使っている言葉がある。好きとか嫌いとかではなく、使わざるを得ない言葉だ。それは、Goblok(大馬鹿・バカッタレ)だ。何かにつけてゴブロックだ。一体我々が独立しているって?バカッタレ! 我々は繁栄しているかって?バカッタレ! 我々は公平?バカッタレ! 我々は正直?バカッタレ。独立して繁栄しているのは連中だ!バカッタレ』


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【参考ブログ】

再録『GBIニュース』1998.8.20 Berita GBI(20.8.1998) 50人グループ
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201105/article_23.html

再録『GBIニュース』1998.819(No.2) BeritaGBI(19.8.1998)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201105/article_22.html

再録『GBIニュース』1998.819 BeritaGBI(19.8.1998) IrianJaya
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201105/article_21.html

再録『GBIニュース』1998.8.18 Berita GBI(18 Agu.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201105/article_20.html

再録『GBIニュース』1998年8月18日Berita GBI(18 Agu.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201105/article_18.html

再録『GBIニュース』1998年8月17日Berita GBI(17 Agu.1998)HUT RI
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201105/article_14.html

再録『GBIニュース』1998年8月14日Berita GBI(14 Agu.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201105/article_1.html

再録『GBIニュース』1998年8月12日Berita GBI(12 Agu.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_30.html

再録『GBIニュース』1998年8月11日Berita GBI(11 Agu.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_29.html

再録『GBIニュース』1998年8月10日Berita GBI(10 Agu.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_28.html

再録『GBIニュース』1998年8月9日 Berita GBI(9 Agus.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_27.html

再録『GBIニュース』1998年8月8日 Berita GBI(8 Agus.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_26.html

再録『GBIニュース』1998年8月7日 Berita GBI(7 Agus.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_25.html

再録『GBIニュース』1998年8月5日 Berita GBI(5 Agus.1998) Tim2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_24.html

再録・大川誠一の『GBIニュース』1998年8月3日 Berita GBI(3 Agus.1998)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201104/article_22.html

インドネシア文化宮(GBI)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/

インドネシア文化宮2010年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2010)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201101/article_1.html

インドネシア文化宮(GBI)満12歳です HUT GBI ke-12 thn
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201005/article_15.html

インドネシア文化宮2009年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2009)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201001/article_1.html

インドネシア文化宮2008年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2008)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200901/article_1.html

インドネシア文化宮2007年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2007)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200712/article_2.html

インドネシア文化宮2006年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2006)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200612/article_8.html

インドネシア文化宮活動記録(日本語)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200610/article_2.html

インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200610/article_4.html

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