中カリマンタン州ムルンラヤ県(Kabupaten Murung Raya, Kalteng)

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インドネシア文化宮(GBI)で開催中の『中カリマンタン文化展』は来る10月31日に最終日を迎えますが、これに参加するため、同州政府派遣の計19名から成る文化使節団の来日が10月初旬に予定されています。スケジュールの確定には未だ多少時間がかかるものと思われますが、このメンバーの中に、同州最奥部のムルンラヤ(Murung Raya)県のウィリー・ヨセフ県知事の氏名が入っています。昨年、シリーズで紹介した『変貌する中カリマンタン州』で是非、触れたいと思っていた県知事ですが、機会を逸してしまいました。そこで、同シリーズの番外編で、ここに同県の殊に“教育熱”についてリポートします。
同県は、中央山岳部に近く、交通手段の面からみても、同州の中で、開発が最も遅れている地域の一つですが、5年前に北バリト県(Kab.Barito Utara)から分離し、ウィリー県知事の下、新たな県として出発して以来、教育分野への予算の重点配分を実施しています。その象徴的な例が、州都の国立パランカラヤ大学のキャンパス内にある、ムルンラヤ県出身者のための学生寮。この寮の完成によって、ムルンラヤ県出身の学生たちは、同大学の学生の中でも、最も近代的な居住空間を手に入れたのです。
学生寮のキャパシティは、男女それぞれ50名。入寮の条件は:家の経済状況は貧しいが、成績優秀者であること。二年生から入寮可だが、県政府の幹部職員の子弟の入寮は認められていない。また、一家族一名のみが許される。学費も県政府負担。ちなみに、県政府は、学部卒業生の中から、さらに成績優秀者を選び、修士課程までの学費も全額負担している。一方、卒業後の規制はなく、地元に戻る義務はない。

ピンクの女子学生寮。まるで“お城”


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カリマンタン(ボルネオ)島のおよそ3/4はインドネシア領。北側に、マレーシアとブルネイが。中カリマンタン州は、同島の南部中央部に位置する。面積はジャワ島よりも大きい。


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中カリマンタン州拡大図。中カリマンタン州は、今から51年前(1957年)に、スカルノ・インドネシア共和国初代大統領政権下で、いわゆる“フロンティア”として開拓された地域。現在、同州は13の県と、州都パランカラヤ(Palangka Raya)の1都市から構成。全土で郡(Kecamatan)は107を数え、村の数は1,644。アクセスとしては、首都ジャカルタから飛行機でおよそ1時間20分。同様にスラバヤから1時間5分。東隣の南カリマンタン州(Kalimantan Selatan・略してKalsel)の州都バンジャルマシン(Banjarmasin)からは陸路で約3時間50分。


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中カリマンタン州1都市13県の位置と県知事。県境は、北から南に流れる河川同様に、南北に走る。一番北側の水色のエリアが「ムルン・ラヤ(Murung Raya)」県。面積は38,617km2で、人口は約87,000人。県は6の郡と116の村から成る。先住民はダヤク民族で、細分化すると、シアン(Siang)民族やムルン(Murung)民族オトゥダヌム(Otdanum)民族など。およそ72%の面積は標高約500~1000メートルの中高地。交通の便は、飛行機の場合、州都のパランカラヤや南カリマンタン州のバンジェルマシンから県都のプルック・チャフ(Puruk Cahu)までの空路がある。しかし、県民の主要交通機関は河川。ジャワ海に注ぐバリト(Barito)川が河川交通を担っている。陸路の場合、州都のパランカラヤからバンジェルマシン経由でおよそ18時間。同県は鉱物資源が豊かで、英豪企業が石炭を、豪企業が金を採掘している。


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ウィリー・ヨセフ(Ir. Willy M. Yoseph, MM)県知事(48歳)。地元では“教育の父”との誉れが高い。中カリマンタン州北バリト県の県議会議員を父に、1960年5月1日、プルック・チャフ生まれ。南カリマンタン州バンジェルバルのランブン・マンクラット大学(Universitas Lambung Mangkurat=UNLAM)林業学部卒。後、首都ジャカルタのPPMで経営修士号を取得。民間企業(林業)で働いた後、1987年に政治の政界へ。現在はPDIP(闘争民主党)所属。ジャワ人のネッティ・スサント夫人との間に4人の子供。『県民を豊かにするためには何よりもまず教育の向上が必要。貧困(Kemisikinan)、愚かさ(Kebodohan)、遅れ(Ketertinggalan)の3つのKから脱却するためには、まず教育の向上が優先課題です』とウィリー県知事。


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パランカラヤにある県所有の大学生寮には、ウィリー県知事の写真入りポスターが。『3Kからの“独立(脱却)”を!』とある。


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無料の学生寮は、近辺の建物と比べても、各段の豪華さ。まるでTDLにでもありそうな色調と形。


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一室四名の構造。二段ベッドが二つ、そして各々の勉強机が。


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居間には、テレビや扇風機が。共同トイレも“標準”的な綺麗さ。


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男子寮と女子寮。


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ムルン・ラヤ県の県知事夫妻(右側の二名)そして県観光局長。同県は中カリマンタン州の最奥部に位置するが、観光客誘致に力を注いでいる。


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ムルン・ラヤ県のミス観光&ミスター観光(真ん中のお二人)そして準ミス&準ミスター


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県特産のお土産。ケチャピ(ダヤク民族ギター)やドリアンの果汁飴、そしてラタン(籐)製品。


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州都パランカラヤで毎年行われるIsen Mulang文化祭に出場したムルン・ラヤ県の文化使節団。


【参考ブログ】


中カリマンタン文化展の期間延長のお知らせ(Pameran Budaya Kalteng)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200809/article_13.html

中カリマンタン文化展始まる(Pameran Budaya Kalimantan Tengah)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200806/article_11.html

中カリマンタン文化展(Pameran Budaya Kalimantan Tengah)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200806/article_2.html

中カリマンタン州でロタン編みタペストリーコンテストを初開催
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200708/article_7.html

オランウータン(No.2) Orangutan di Kalimantan Tengah(2)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200708/article_2.html

オランウータン(No.1)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200708/article_1.html

The Borneo Orangutan Survaival Foundation(BOS)
http://www.orangutan.or.id

中カリマンタン州(No.5)オオコウモリ (Prop.Kalimantan Tengah)No.5
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200706/article_9.html

http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200706/article_8.html
変貌する中カリマンタン州(No.4)Propinsi Kalimantan Tengah(No.4)

変貌する中カリマンタン州(No.3)Propinsi Kalimantan Tengah(No.3)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200706/article_7.html

変貌する中カリマンタン州(No.2)Propinsi Kalimantan Tengah(No.2)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200706/article_6.html

変貌する中カリマンタン州(Propinsi Kalimantan Tengah) No.1
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200706/article_5.html

中カリマンタン州政府公式ホームページ
http://www.kalteng.go.id/

中カリマンタン州ムルンラヤ県公式ホームページ
http://www.kabmurungraya.go.id/



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