インドネシアの巨石文化(1) (Budaya Megalitik Indonesia(1)

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巨石文化といえば、考古学的には、紀元前4000~3000年に造られた、西ヨーロッパのドルメン(支石墓)がまず浮かび、そして石で構築された文化としては、ずっと後の時代になりますが、南米チリのイースター島のモアイ像も有名ですね。エジプトのピラミッドやジャワのボロブドゥール遺跡、そしてカンボジアのアンコールワットなども石文化の結晶です。なんでも考古学で「アジアの巨石文化」という場合、古墳時代以前の先史時代のものに限るそうですが、その中にあって、インドネシアは今でも巨石文化の信仰が日常生活の中に垣間見ることのできる数少ない国です。インドネシア国立考古学センターのハリス・スクンダル(Haris Sukendar)所長が、2003年3月21日に、奈良県で開催された国際シンポジウム『謎の巨石文化を考える』で発表したコメントを引用すれば、「東部インドネシアの島々では、現在も巨石文化の信仰が続いています。多くの場合、祖先崇拝と関係しています。(中略)そのほかに、太陽崇拝信仰とかんけいするものも一部あります。(中略)巨石記念物の多くには、人間や動物、植物、太陽や星などが装飾的に浮き彫りされており、それらの意匠はすべて、それぞれの社会で意味をもっています。人間の顔は、邪悪なものをそこで阻止する象徴です。また、そこに葬られた社会の長、つまり王にあたる人物の勇敢さや博識さを象徴するものとして、ワニなどの動物が描かれることがあります。さまざまな象徴が描かれることが、インドネシアにおける巨石文化のひとつの特徴です」と。

上の画像は:北スマトラ州トバ湖のサモシール(Samosir)島にあるお墓(撮影:GBI)


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北スマトラ州ニアス島ゴモ郡オラヒリ(Orahili)にある儀式用もしくは祭壇と思われるテーブル群。上端に雄鶏の飾りを付けた
メンヒルがある。



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北スマトラ州ニアス島ゴモ郡トゥンドルンバホ(Tundrumbaho)にある、王妃が舞ったとされる一枚岩のテーブル状舞台。ネオガディ(Neogadi)と呼ばれている。近辺では、メンヒル、石像なども発見されている。


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北スマトラ州ニアス島ゴモ郡オラヒリ・ファウ(Orahili Fau)にあるダロダロ(Daro-daro)と呼ばれている。女性を象徴しているとの説がある。


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西スマトラ州リマプルコタ県スリキ・グヌン・マス郡バワ・パリット(Bawah Parit)に立つメンヒル。墳墓の場所を示していると理解されている。高さは116cm、幅は35cm。人間の目や鼻を模った蔓状のモチーフが彫り込まれている。下部には、チェーン・チーフがある。


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南スマトラ州プラウ・パンジャン(Pulau Panjang)にある石像。水牛を操る人物を表現。ヘルメットのような帽子を被り、首飾りと腕輪を付けている。右手は水牛の角を押さえ、左手はミニチュアの人間像を抱えている。


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南スマトラ州パガララムのタンジュン・アラウ(Tanjung Arau)で見つかった石像。一匹の大きな蛇と格闘する二人の人物像が彫り込まれている。蛇は一人の頭をかじっている。



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(上と下の画像) ランプン州の州都バンダルランプンから東北方面へ約1時間30分の距離にあるプグンラハルジョ(Pugungraharjo)遺跡。リンガを思わせるメンヒル、そして方墳、さらに広大な遺跡群を囲むお堀の跡などが残っている。プグンラハルジョ遺跡は、1950年代に入植者によって密林の中で発見された。現在はプグンラハルジョ古代公園として観光地になっている。ヒンドゥー教と仏教の影響を受けたことをうかがわせる石像なども発掘されており、資料館によれば、この遺跡は6世紀から15世紀頃までの間に造られたものと推定されている。この遺跡の歴史についてはまだまだ謎が多い(撮影:GBI)。


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ランプン州南ランプンのバトゥベラック(Batuberak)にあるメンヒル。高さは145cm、幅は55cm。儀式用のものと想像される。


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西ジャワ州チアンジュールのグヌン・パダン(Gunung Padang)にある石のテラス。祭壇もしくは儀式跡と想像されている。西ジャワでは最大規模。テラスは五層を数え、それぞれ広場がある。墳墓と思われる。テラスの壁は高さ5メートルもの石ブロックで支えられている。最初のテラスは長方形で、ここに至る道は、筋違いに横たわる石ブロックでできている。


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西ジャワ州クニンガンのチパリ(Cipari)にある祭壇上部にメンヒルが立つ。ティモール島やフローレス島の石文化とも似ていると言われている。


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東ジャワ州のマエサンのプデデック(Pudedek)のアンドゥン(Andung)丘の頂上にあるケノン(Kenong)と呼ばれる石群。ボンドウォソ(Bondowoso)からはおよそ21km。長さ約85cm、直径約50-65cmの大きさの石が計15個。これらの石は、直径およそ9メートルの円上にある。ニアスの伝統家屋で用いる石構造と似ているとの説もある。


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東ジャワ州のボンドウォソ、ウォノサリ(Wonosari)郡ロンボク・クロン(Lombok Kulon)で発見されたドルメン。墓と推定されている。付近イは45個のドルメンが点在する。三本の石柱(長さ約75cm、幅約45cm)が支えている。丸石のサイズは、130 X 110 X 180cm。


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(上下の画像) 中ジャワ州にある世界遺産・ボロブドゥール遺跡も、ある意味では巨石文化と言える(撮影:GBI)。


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【備考】

画像は、GBIはインドネシア文化宮が撮影、その他は、インドネシア共和国教育文化省文化局が11年前の1997年に発行した「Album Tradisi Megalitik Di Indonesia(インドネシアにおける巨石伝統アルバム)」と題する非売品書籍から引用。同書は、インドネシア全土の巨石文化に関して、概要ではあるが、北スマトラのニアスに始まり、当時まだ同国の版図に組み込まれていた東ティモールに至るまでの、ヌサンタラ全域を対象としてその姿を記録している。

【参考ブログ】


タニンバル島の謎の石階段(Tangga Batu, Tanimbal, MTB, Maluk)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200805/article_5.html

タニンバル島の謎の石船No.2(Kapal Batu, Tanimbal MTB) No.2
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200805/article_4.html

タニンバル島の謎の石船(Kapal Batu, Tanimbal MTB) No.1
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200805/article_3.html

インドネシア考古学研究センターの刊行物(1955~2000)
http://www.h6.dion.ne.jp/~kawan/sotsumanu/No.23.htm

国際シンポジウム・謎の巨石文化を考える(2003.3.21)
http://www.nara.accu.or.jp/about/symposium/symposium.pdf

インドネシア文化宮(GBI)活動記録
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200610/article_2.html

インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200610/article_4.html



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