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zoom RSS 再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 『南来流&キジムナー』(1999.6.27)

<<   作成日時 : 2013/06/28 00:00   >>

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安田和彦の沖縄マタハリ物語 『南来流(なんくる)&キジムナー(木の聖霊)』(1999.6.27)
名護市内北部の為又(びーまた)区、本部(もとぶ)町へ通じる県道116号線沿いに、ガーデンカフェ南来流(なんくる)という喫茶店がある。私も2年前のオ―プン以来しばしばコーヒーを飲みに立ち寄っているのだが、緑に囲まれた一見して東南アジアのものとわかる木造建築で、門をくぐりトロピカルな庭を通り抜けて店内に入ると、木の床の涼しさが素足に何とも心地よく、どっしりとした重量感のあるテーブルと椅子が並ぶ落ち着いた雰囲気に心がなごむ。
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このお店を経営するのが、翁長政史(おながまさふみ)氏である。翁長氏は1964年名護市名護出身で、学生時代から東南アジアに関心を持ち続け、タイ生まれのデザイナー・ライターのピタヤポーンさんとご結婚、ピタヤポーンさんの設計デザインに基づき、タイから大工さんも呼び、建材も輸入し、家具も揃え、3年がかりでタイ式建築を完成させ、お店を開いたという方である。

さて、私は、名護に来てまだ間もない3年前頃に翁長氏と初めてお会いした時、実は翁長氏が学生時代に初めて訪れた東南アジアの国はインドネシアだったとお聞きした。その時はあまり詳しいお話を伺った訳ではないのだが、その後何度かお会いして、その旅行経験を詳しく聞く機会があった。

翁長氏は、ワーキングホリデーで訪れたオーストラリアのダーウィンからまずバリに渡り、バリから、ロンボク、ジャワへと旅をし、ビザ切れで一旦シンガポールへ出国し、シンガポールからマレー半島を北上、ペナンからマラッカ海峡を渡ってメダンへ再入国し、バンダアチェ、サバン島、トバ湖、ブキティンギ、パダン、さらにインド洋に浮かぶシベルート島まで行ったという。その旅はちょうど湾岸戦争の頃で、ピタヤポーンさんと出会ったのもその途中で、またいろいろと貴重な体験もできたそうだ。

中でも、ブキティンギでトレッキングツアーの募集を目にして訪れたシベルート島は、やはり強烈に印象に残っていると話された。シベルート島といえばインド洋に浮かぶ秘境の島として知られているが、パダンから船で10時間かけてインド洋を渡り島の玄関口のムアラシベルートに到着、ムアラシベルートからはボートで3時間川を上り、上陸してから5時間ジャングルをヒルに悩まされながらトレッキングをしてやっと人の住む村に着いたという。そのムンタウェイと呼ばれるシベルートの民は体中に刺青をしていて、ピタヤポーンさんは、彼らを一目見てタイ・ビルマ(ミャンマー)の山岳地帯に住むカレン族の人々にそっくりだと感じたそうだ。
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サロモの家(翁長政史氏提供)

村では、高床の家に1週間滞在したのだが、それは、サロモと呼ばれる祈祷師の家で、サロモ夫妻、サロモのお母さん、サロモ夫妻の息子二人と娘一人が暮らしていて、いつもサロモの兄が訪ねてきたという。もちろん電気が通っている訳はなく、朝は野鳥の声で起き、昼は空も見えないほど生い茂った大木の原生林の樹海を歩き、夜は漆黒の闇と満天の星の中で休む生活で、食べ物はパダンから持参した米を炊き、それ以外は島のサゴヤシ、芋類、蝶か蛾の幼虫等を食べ、肉類は食べなかったと話された。

サロモ達は、常に弓矢を持ち歩き、翁長氏ら旅行者には全く方角がわからない樹海の中で、動物の気配を感じるとそれを追いかけて駆け回り、迷うことなく元の場所へ帰ってくるのだが、最も驚かされたのは、その足だそうだ。サロモ達は、ぬかるみの中を這う木の根を足の指で握りバランスを保ちながら歩き、毎晩足裏の皮に突き刺さった木の棘を抜いていたという。

また、樹海の中で文字が刻まれた木を見つけると、それは亡くなった人の名前を刻んだものと教えてくれたという。ムンタウェイの生活ではごみが出ないことにも気づき、また、サロモの子供達が 2、3日外出して戻ってこなくてもサロモは余り心配していなかったこともあったが、それは、情が薄いとかそういうことではなく、基本的に自然を相手に自分の食料は自分で取ってくる自活生活なので、子供達自身の生命力を信頼していたからだろうと思ったと話された
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サロモ一家(翁長政史氏提供)

東南アジアは海と森の世界であるとよく言われる。シベルート島においては、インド洋の荒波は外からの影響をさえぎり、木は聖霊が宿るものとして切り倒されることなく深い森を作り、その森が人々の生き様を形成してきたのである。

沖縄・山原(やんばる)の森もまた、キジムナー(木の聖霊)の住む場所である。

今、翁長氏がお店で提供するメニューは、一粒ずつ選定し自家焙煎した豆を山原(やんばる)の森に湧く天然水で淹れたコーヒーを始め、無農薬の材料から手作りし、裏庭で育てた薬草を添えた軽食、ケーキなど、すべてにおいて翁長氏がこだわりを貫いたものである。翁長氏のお話を伺い、現在のお仕事を拝見し、私も森が発する声に耳を傾けていきたいと感じた。


【参考ブログ】

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 『ナゴンチュとピトゥ』(1999.6.5)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_28.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 『沖縄・カンビン・インドネシア』(1999.5.25)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_26.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 『うちなータイム』(1999.5.14) 
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_25.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 沖縄からインドネシアを考える
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_21.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】  『うりずん』
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_23.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 マタハーリヌ チンダラカヌシャマヨ
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_22.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 沖縄からインドネシアを考える
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_21.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)5 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200909/article_2.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)4 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200909/article_1.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)3 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_32.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)2 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_31.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)Goa Jepang, Pulau Biak, Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_30.html

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