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zoom RSS 再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 『沖縄・カンビン・インドネシア』(1999.5.25)

<<   作成日時 : 2013/06/25 00:00   >>

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安田和彦の沖縄マタハリ物語 『沖縄・カンビン(山羊)・インドネシア』(1999.5.25)
島袋氏にお会いしお話を伺いたいと思ったきっかけは、氏が書かれた「沖縄の豚と山羊」(1989年、ひるぎ社)という本を読んだことである。名桜大学で山原(やんばると読み、沖縄県本島北部を指す)の地域研究を専門にしている中村誠司教授のお部屋でこの本を見つけ、そのタイトルの山羊の部分に興味を持ってお借りしたものだ。
島袋正敏(しまぶくろ せいびん)氏。名護市立中央図書館長、1943年名護市底仁屋(てにや)生れ。

インドネシアでは、山羊はいわゆる日常食である。個人的に山羊のおいしさを知ったのは12年前のバンドゥン留学時代で、大学から戻ったら昼寝をしてあたりが暗くなった頃から外に出て、近くのワルン(屋台)で食事をすませ、焼きたてのサテ・カンビン(山羊の串焼き)を買って帰り、部屋で冷えたビンタンビールと一緒に頬張った味は今でも忘れられない。

今自分はインドネシアで生活しているのだと、当たりまえのことだが、それを強く実感させてくれた。今でもインドネシアに行くと必ず山羊を食べたくなるし、日本でインドネシア料理を楽しむ時も山羊は欠かせぬメニューである。

沖縄では、山羊は何かの行事があった時などに刺身や汁として出されて、その場に集まった人達に振舞われるという例が多く、医食同源の考え方の中で薬食としての意味も強いようだ。とはいえ、名護市内にも山羊料理店はいくつかあるし、泡盛を飲んだ後には特に食べたくなると言う人もいて、豚ほどではないが、広く食されていることは間違いない。私も、こちらに来てから何度か山羊をおいしくいただいた。

いずれにせよ、沖縄もインドネシアも山羊を食するという共通した食文化を持っているわけで、中村教授から、島袋氏ご自身もインドネシアを訪ねた経験をお持ちであると聞き、ぜひお会いしたいと思ったのである。

さて、先日、島袋氏には名護市立中央図書館長としてのお忙しい日々の中から時間を割いていただいた。まず、山羊については、それが今から500年前の琉球王朝時代に東南アジアとの交流により伝えられたのであろうし、かつてはインドシナ半島から、インドネシア・フィリピン、台湾、さらに琉球列島に共通して褐色系のものが分布していたということ、それは山羊の比較的厳しい環境でも生育されるという特長によるのだろうとのお考えをお伺いした。

さらに、インドネシアに行かれた時のことをお尋ねすると、それは13年前のことで、もちろん山羊も食べたが、主な目的としては、高床式の蔵・倉庫を見ることと、ボゴール植物園を訪問することの二つだったという。その当時勤務されていた名護博物館で資料貯蔵庫を作るに当たり、熱帯の国インドネシアで、高床の蔵・倉庫がどのように空気を通して温度を調整しているのか、ボゴール植物園がどのように旧オランダ領東インド時代からエアコンを使わずに高湿度から資料を守り保存してきたのかを調べてきたのだそうだ。そして、調査の結果は、現在の名護博物館資料貯蔵庫の設計に生かされているとのことである。
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また、調査は、もともと高温多湿の土地で使用されていた物、または特に除湿されていない状態で民家のたんすの中にしまわれていた文書などを保存するために、閉め切った部屋にエアコンを効かせる方法が合っているのだろうかという疑問を感じたことから始まったとお話しされた。

当時のインドネシアで印象に残っているのは、調査に訪れたジャワ島ジョグジャカルタ近郊の農村で、子供達が田んぼの中で作業をしている風景だそうだ。それは、単に貧しさから子供が労働力として使われていると見るのではなく、子供が家族・共同体の一員として成長していく上で欠かすことのできない経験、家族・共同体の結びつきを深める要因として見るべきではないかという。

さらに、現在の日本は子供が自然の中で生産活動をして社会に参加する機会があまりにも少ないのではないかと心配されていた。社会のシステムとしてそれが望めないのであれば、子供達のためのワークキャンプのようなものを作り、自然の中で働く経験を与えていきたいし、また、それはご自身のライフワークでもあると述べられた。

お話しをお伺いして、島袋氏の発想が、豊かで、柔軟で、本質的であることに感銘を受けた。そして、それが自らの土地・地域に根ざした生活の実体験から生れていることが、実にすばらしいのだと思う。


【参考ブログ】

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 『うちなータイム』(1999.5.14) 
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_25.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 沖縄からインドネシアを考える
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_21.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】  『うりずん』
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_23.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 マタハーリヌ チンダラカヌシャマヨ
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_22.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 沖縄からインドネシアを考える
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_21.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)5 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200909/article_2.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)4 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200909/article_1.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)3 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_32.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)2 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_31.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)Goa Jepang, Pulau Biak, Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_30.html

インドネシア文化宮(GBI)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/

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http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/theme/d29d402d07.html

GBIニュース:人名録インデックス2 Indeks Berita GBI Tokoh
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_18.html

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http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_14.html

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http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_13.html

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http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_12.html

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インドネシア文化宮2007年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2007)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200712/article_2.html

インドネシア文化宮2006年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2006)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200612/article_8.html

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