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zoom RSS 再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】  『しーみー』

<<   作成日時 : 2013/06/23 00:00   >>

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安田和彦の沖縄マタハリ物語 『しーみー』(1999.4.29)
沖縄で4月の日曜日といえば、まず「しーみー」ということになる。
「しーみ―」、漢字で書くと「清明」であり、いわゆる二十四節季の一つであるが、本土からやってきた私(内地の人、という意味でナイチャーとも言われる)にとっての第一印象は、この日を前に各商店、スーパーなどはこぞって「清明セール」を行い、当日はある決まった道が路上の縦列駐車で埋まり、道の横の亀甲墓(かめこうばか)では、オリオンビール・泡盛と重箱料理を前に何十人もの人が集って宴会をしている、という何ともにぎやかなものであった。

その後、しーみーとは何かということを、人から聞いたり、本で読んだりしたのだが、それらをまとめると、旧暦の清明の日とは、父系の親戚の人たちが先祖の墓前に集まり、酒食を共にし、歌い踊り、一族の親睦を深めその繁栄を願う先祖供養の日、ということだ。また、これは中国から伝来した習慣で、以前、この話を中国の北京駐在の友人に話したところ、「中国でも清明の日に先祖供養をしますよ」と話していた。

また、このしーみーという祭りは、必ず暦の上の清明の日に行われるというものではなく、例えば名護市では今週の日曜日、隣の本部町では来週の日曜日というように、通常休日に行われるのだが、これは人が集まりやすいようにということと、そこに集まることが何よりも(例えば休みの日にゴルフに行くなどということよりも)優先されるということを示しているように思われる。
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さて、かくもにぎやかで大切な祭りであるしーみーを語るには、どうしても「むんちゅう」と「亀甲墓」に触れざるを得ない。「むんちゅう」は、漢字では「門中」と書くが、父系の血縁集団を指し、「亀甲墓」は、その外形が亀の甲に似ていることから名づけられた、門中のお墓であり、他家へ嫁いだ女子はそこへ葬られることはないという。門中のつながりの強さは、例えば、門中の結婚式の案内状には返信用の葉書が入っていないものが多い、つまり出席しないことなど考えられないし、ありえない、という話をナイチャーである私に語ってくれる人もいることからも想像できる。

また、沖縄タイムス、琉球新報という県内2紙朝刊には、当日の告別式の案内が、ある面の全面に掲載されていて、毎朝それをチェックしておくのは一社会人として当然のこととも言われる。門中の誰かが亡くなったとしても、知らせるべき人は何十、何百にもなる場合、電話で連絡するより新聞広告の方が便利だからである。

そして、この門中のしくみは、がじゅまるの木(榕樹)に例えられる。つまり、大地に深く張られた根と地上に太く屹立する幹が本家・先祖で、そこから伸び、生い茂る枝が分家・子孫であり、根・幹を養い、つまり本家・先祖を敬い大切にすれば、枝である分家・子孫も豊かに繁栄していく、というものだ。

次に、門中が集まる亀甲墓は、その形ばかりでなく、その中が広いということも特徴として挙げられよう。もちろん、大小はあるのだが、墓の内部は広いものでは8畳ほどになり、そこに、先祖の遺骨が瓶に入れられ置かれる。今は、誰かが亡くなった場合、告別式が行われ火葬されるのが普通だが、かつては(といっても現在六十歳ぐらいの人であれば、子供の頃はそうだった、というくらいの昔だが)亡骸は火葬されず棺に入れられ墓の中に安置され、しかるべき歳月を経て、棺から取り出され泡盛で洗われ、その骨が瓶に入れられ、再び墓に戻って行った、のだそうだ。

いわゆる「洗骨」である。ちなみに、洗骨に用いられる泡盛は、棺と共に入れておいたもので、歳月を経て熟成した「古酒」であり、半分は骨を洗うために使われるが、残った半分は故人を偲んで飲むもので、その味は絶品であるという。まさに先祖の生命が溶け込んだものなのだろう。

確かインドネシア中部ジャワのジョグジャカルタの王宮前にも大きながじゅまるの木があったと記憶しているのだが、がじゅまるの木(インドネシア語ではwaringin)を神聖視する、という考え方は東南アジア各地にあり、ジャワもそうである。また、血縁による一族を樹木に例えて表す世界観は、スラウエシ島のトラジャなどにも見られるものだ。さらに、死者をすぐに火葬せずにある場所に安置し、しかるべき後にある儀礼を行い霊を祀る、という方法はインドネシア各地に見出せよう。よく、沖縄は先祖崇拝の島である、と言われる。沖縄の先祖崇拝の姿は、実に豊かである。


【参考ブログ】

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】  『うりずん』
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_23.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 マタハーリヌ チンダラカヌシャマヨ
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_22.html

再録 【安田和彦の沖縄マタハリ物語】 沖縄からインドネシアを考える
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/201306/article_21.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)5 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200909/article_2.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)4 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200909/article_1.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)3 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_32.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)2 Goa Jepang Pulau Biak Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_31.html

“玉砕の”ビアク島訪問記(By 安田和彦)Goa Jepang, Pulau Biak, Papua
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200908/article_30.html

インドネシア文化宮(GBI)
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インドネシア文化宮2007年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2007)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200712/article_2.html

インドネシア文化宮2006年活動記録(Kegiatan GBI pada tahun 2006)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200612/article_8.html

インドネシア文化宮活動記録(日本語)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200610/article_2.html

インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
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