北スラウェシ州紀行(5) マナド(Manado) Perjalanan ke Sulut (5)

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東部インドネシアの中心地と言えば、誰しもが、スラウェシ島の西南端近くに位置する、南スラウェシ州の州都であるマカッサル(Makassar・旧ウジュンパンダン)を思い浮かべる。人口は約123万。つまり北スラウェシ州の州都マナドのおおよそ3倍弱だ。南スラウェシ州では、タナトラジャ県を例外とすれば、圧倒的多数(約88%:注:この数値は全インドネシアのイスラム人口比率とほぼ同じ)がイスラム教徒であるのに対して、北スラウェシ州では圧倒的多数がキリスト教徒(約71%。但し約80%との推計もある)。つまり、同じ島の中で、南北で宗教構成が逆転しているということだ。とは言え、2001年に、イスラム人口が多数派だったゴロンタロ(Gorontalo)が北スラウェシ州から分離して、新たな州として出発する以前は、イスラム教人口とクリスチャン人口が拮抗していた(イスラム約48%、クリスチャン約52%)。
クリスチャン人口がマジョリティーの北スラウェシの歴史的背景には、17世紀のスペインによるカトリックの布教、そして19世紀のオランダによる本格的なプロテスタントの布教がある。こういったキリスト教の布教史を抱えるマナドや近辺のミナハサ(Minahasa)地域には、当然のことながらヨーロッパ風の大きな教会があちこちに建っている。さらに、“オランダの第12番目の州”と呼ばれるまでにオランダ文化を受け入れてきた土地柄故に、現在でも街々に“欧州風の開放的な”雰囲気が漂う。この点は、マナド市民が密かに対抗意識を持つマカッサル&ブギス人の中心地マカッサル市のそれとは大きく異なる。マカッサルではムスリムの風を日々感じる。
マナド市は拡大を続けている。マナド湾の埋立てによって76ヘクタールの近代的なビジネスセンター街の建設が今も行われている。ブレヴァード(Boulevard)通りは、州政府の説明によれば“インドネシア国内で一番長い海岸道路”だそうで、その長さは4.2km。『このカワヌアの街のエリート通りは、マカッサルの、あの有名なロサリ通りの600mよりも遥かに長い』---州政府観光局職員が勝ち誇ったように強調する。ちなみにカワヌア(Kawanua)とは、同胞を示すミナハサ語で、同じくミナハサ地域出身者であることを第一人称で呼ぶ場合に頻繁に使われる。


マナド市郊外の新興住宅地であるマナド・チトゥラランド(Citraland Manado)の丘には、アジアで最も高いと謳われるキリスト像が立つ。地表からの高さは約50m。2007年に完成。マナドの新たなアイコンとなっている。インドネシアの“不動産王”とも言われるチ・プトゥラ(Ir.Ciputra)氏が発案した。ちなみに、世界で一番高いキリスト像は、南米ブラジルのリオデジャネイロのコルコバートの丘に立つ、本体が高さ30mのもの。チ・プトゥラ氏は、1931年、現在の中スラウェシ州のパリギ(Parigi)近くの寒村で生まれ、マナドで高校を終えたあと、ジャワ島バンドンのITB(バンドン工科大学)を卒業。首都ジャカルタ特別市所有の法人Jaya Groupを足場に“不動産王”に。現在は、同族会社Ciputra Groupのオーナー。
ミナハサ民族には、“SI TOU TIMOU TUMOU TOU”と呼ばれるミナハサ語の人生訓がある。意味は「人は人を生かすために生きる」。つまり「人は人のために生きる」ということだ。この人生訓は、ミナハサ出身の国家的英雄であるサム・ラトゥランギ(Sam Ratulangi:1890–1949)が、オランダ植民地時代に、人々を鼓舞するために、古くからミナハサに伝わる格言を広めたことからミナハサ社会でポピュラーになった。氏名のサム・ラトゥランギは、今日、マナドの国際空港や、大学、そして道路名などになって記憶されている。このミナハサ哲学は、キリスト教の教えとも相まって、北スラウェシ州民の心の拠り所となっている。



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マナド湾からみたマナド市。海岸線一帯は埋め立て工事が進み、まるでオランダのロッテムダムにワープしたかのような錯覚にとらわれる。


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“オランダの第12番目の州”---確かに“インドネシアのオランダ”


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マナドで一番高級とされる11階建の☆☆☆☆ホテル「Hotel Ritzy(リッツィ)」。オーシャンビューの部屋からは古マナド島やブナケン島が見える。


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ブレヴァード通り沿いのお洒落な建物群。


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北西方向からマナド市を望む。


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マナド市内西部からマナド湾を隔てて北東方向を望む。


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マナドの夜。海岸通りにナイトマーケットが立ち並ぶ。


【参考ブログ】


北スラウェシ州紀行(4) ブナケン(Bunaken) Perjalanan ke Sulut (4)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200809/article_33.html

北スラウェシ州紀行(3) ブナケン(Bunaken) Perjalanan ke Sulut (3)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200809/article_32.html

北スラウェシ州紀行(2) シーラカンス  Perjalanan ke Sulut (2)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200809/article_31.html

北スラウェシ州紀行(1) マナド(Manado) Perjalanan ke Sulut (1)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200809/article_30.html

マカッサルの「パニンクル」が二冊目の出版(INDONESIA di Panyingkul!)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200807/article_3.html

マカッサル市民ジャーナリズムに支援の手を(Bantuan utk Buku Panyingkul)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200805/article_8.html

マカッサル映画鑑賞&マカッサル文学講演(Film & Sastra Makassar)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200804/article_2.html

西スラウェシの伝統船サンデックで黒潮海道を航海
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200707/article_3.html

トラジャ文化&トラジャ語を学ぶインドネシア理解講座(Budaya & Bahasa Toraja)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200707/article_1.html

トラジャ人画家マイク・トゥルーシー個展(Pameran Tunggal Mike Turusy)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200706/article_10.html

トラジャ人画家マイク・トゥルーシー個展のお知らせ(Pameran Mike Turusy)
http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/200705/article_2.html

北スラウェシ州政府
http://www.sulut.go.id/new/?

マナド市観光局
http://www.manadokota.info/

NSTPB(North Sulawesi Torusim Promotion Borad)
http://www.north-sulawesi.org/index.html

北スラウェシ州サンギヘ諸島県
http://www.sangihe.go.id/

World Ocean Conference 2009
http://www.woc2009.org/

特定非営利活動法人 Manado Net Japan
http://manadonet.com/

Sulutlink Foundation
http://www.sulutlink.org/

常夏のスラウェシ島(インドネシア)情報マガジン
http://www5d.biglobe.ne.jp/~makassar/

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