映画『Serambi』

【第19回東京国際映画祭でインドネシアの3作品を上映】

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ガリン・ヌグロホ監督&クリスティン・ハキム



黒澤明監督の『乱』を観た第1回東京国際映画祭は、1985年のことでした。初めの頃は隔年で実施されていた東京国際映画祭(TIFF)も、今では秋の恒例行事になっています。世界12大国際映画祭の一つに数えられるTIFF。日本の映画産業に対してだけではなく、アジアの映画人に与えた影響も多大だと感じます。特に、近年『アジアの風(Winds of Asia』の枠で、アジア映画を特集して上映するようになってからは、インドネシアを含む東南アジアの映画からも熱い視線を浴びるようになってきました。
今年の第19回東京国際映画祭(http://www.tiff-jp.net/ja/)には、インドネシアから3作品が参加しています。「アジアの風」のインターナショナル・プレミアのジャンルで、『ガレージ(Garasi)』(Agung Sentausa監督。主演はAyu Ratna、Aries Budimanなど)、そして『分かち合う愛(Love for Share。原題はBerbagi Suami[夫を分かち合うの意味]』(Nia Dinata監督。主演はJajang C Noer、Shantyなど)。
『分かち合う愛』のニナ・ディナタ監督は、2005年に東京国際レスビアン&ゲイ映画祭に『Arisan(アリサン)』を出品しています。また『分かち合う愛』は、去る10月初旬に開催されたジャカルタ映画祭(FFJ)で、最優秀作品賞を受賞しています。また、同映画は、監督賞、シナリオ賞、音響賞、音楽賞もゲットし、さらには出演したドミニク・ディセヨが新人女優賞を得ています。一方、『ガレージ』は、『ビュティフル・デイズ』や『GIE』などの制作を手がけたプロデューサーが、新人若手監督を起用して製作。


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ガリン監督&ハキムさんと、中央アチェからやってきた舞踊団



そしてもう一つの作品が、「アチェとアジアのための特別上映」の枠で10月23日、渋谷のBunkamuraで上映された『Serambi』(セランビ。セランビとは前庭の意味で、アチェ州がインドネシア国内で最もメッカに近いこと、さらにアチェが、かつてメッカ巡礼船の出発地だったことなどから“メッカの前庭”と呼ばれています)。同作品は、ガリン・ヌグロホ(Garin Nugroho)監督を始め、Tonny Trimarsanto, Viva Westi, Lianto Lusenoの計4名の監督らによるドキュメンタリ&ドラマ形態の映画です。
ハキムさんとは7月末に、代々木で行われたある結婚式で再会したばかり。そしてガリンさんとは、2004年1月31日にインドネシア文化宮(GBI:http://clik.to/GBI)で実施した第47期インドネシア理解講座(2000年6月に開催された第二回パプア住民会議の模様を記録したガリン監督のドキュメンタリー映画「ICON(アイコン)」のビデオ鑑賞会)を実施するため、前年にジャカルタでお会いしたのを最後に、暫くご無沙汰していました。2002年にパプアを舞台とした劇場映画『一度だけキスしたい(Aku Ingin Mencium Sekali Saja)』を発表するなど、同国最東端のパプアに熱い思いを抱いているガリン監督とは、パプアの問題を経緯に、在ジャカルタのパプア人らと論議するなどの有意義な時を共有しました。
で、今回のTIFFへの出席を機会に、メトロTVの番組のためにガリンさんとハキムさん、そして着任したばかりの駐日インドネシア大使ユスフ・アンワール(Jusuf Anwar)氏の計3名を同時にインタビューさせていただきましたので、以下Q&Aの一部を紹介します。


ガリン・ヌグロホ監督へのインタビュー


Q:これまでの来日は映画監督としての立場でしたが、今回は審査員としてですね?

A:嬉しいですね。TIFFは、世界の重要な12の国際映画祭の中の一つであり、また審査員の方々も錚錚たる人たちで、その一人になれたことはとても光栄です。私の作品、例えば『Surat Bidadari』や『Daun di atas Bantal(枕の上の葉)』は過去に日本で上映され、高く評価していただきましたが、この映画祭は、世界の、そして日本の映画を日本で観る良い機会ですね。

Q:これからのインドネシア映画についてどのようにお考えですか?

A:この映画祭にはインドネシアから3作品が出品されていますが、それからも分かりますが、色々なタイプの監督、そして色々なバックグラウンドを持った若い監督たちがたくさん出てきていますから将来が楽しみです。しかし、競争が激しくなってきていますね。例えば、マレーシアは今回の映画祭にTruly Asiaを翻してたくさんの作品が出品されていますし。だからインドネシアも静観しているだけじゃなくて、競っていきますよ。

Q:国際映画祭でインドネシア映画がグランプリを獲るのはいつ頃でしょうか?

A:すでに色々な賞を結構獲っていますよ。『Daun di atas Bantal』はTIFFで審査員特別賞をもらいましたし、また『Serambi』もカンヌ国際映画祭に公式招待されますし。


クリスティン・ハキムさんへのインタビュー


Q:もう何度も東京にきていますね?

A:はい、ありがたいことに。最後に来たのは2-3ヶ月前です。

Q:ハキムさんは日本ではインドネシアはおろかアジアを代表する女優として知られていますが、今回は女優としての立場ではなくプロデューサーとして参加ですね?

A:はい、プロデューサーとして。私はこれまで三つの作品を制作しました。そしていずれも日本で公開されています。『枕の上の葉』は、岩波ホールで上映。『囁く砂(Pasir Berbisik)』はNHKとの共同制作。そして今回の『Serambi』は、今までの作品とは少し異なり、ヒューマニティの問題を盛り込んでいます。東京は今夜は雨で寒いですが、インドネシアは祝日です。断食月最後の夜ということで、この『Serambi』の公開が、二年後に50周年を迎える日イの友好関係にさらに有意義な要素を加えることを願っています。この映画が、両国関係に祝福ともたらすことを祈ります。


ユスフ・アンワール大使へのインタビュー


Q:大使、ようこそ日本へ!寒そうですね?(厚手のコートを着込んでいる)

A:来日(10/20)して二日で、この寒さにやられていますよ。

Q:この映画祭は、新任大使として初めての重要な公務ですか?

A:日本の官僚やアジア各国大使たちとの顔合わせなどはありましたが、この映画祭は特別で、“スゴイ”ことだと思います。

Q:世界的に有名な女優、そしてインドネシアを代表する監督に挟まれたご感想は?

A:とても誇りに思います。この映画祭はインドネシア映画の国際舞台における評価の絶好の機会ですし、二年後に50周年を迎える日イの友好関係をより一層密にするものとなります。

Q:大使ご自身は、赴任前、インドネシアでインドネシア映画をよくご覧になりましたか?それともハリウッド映画の方が多いとか?

A:赴任を前に忙しくて、なかなか映画を観る機会がありませんでしたが、インドネシア映画を含めて、良い作品をたくさん観ますよ。映画は、ソフト外交の一つでもあります。ですから、在任中、インドネシア映画はもちろんのこと、インドネシア文化、そして経済分野も、どんどん日本で広めていきたいですね。



【参考URL】

(クリスティン・ハキム)
大川誠一のGBIニュース(1999年6月5日)
http://www.harapan.co.jp/indonesia/gbi/gbinews990605.htm

大川誠一のGBIニュース(1999年6月8日)
http://www.harapan.co.jp/indonesia/gbi/gbinews990608.htm

(ガリン・ヌグロホ)
大川誠一のGBIニュース(1999年6月10日)
http://www.harapan.co.jp/indonesia/gbi/gbinews990610.htm




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